柏手とは?意味・作法・拍手との違いまで神社参拝の基本を解説

神社の拝殿に向かって柏手を打つ人の姿。 神社とお寺

神社で柏手を打つ――そんな何気ないしぐさの中にも、日本人ならではの祈りのかたちが宿っています。

「柏手(かしわで)」と呼ばれるこの所作は、ただ音を鳴らすためのものではなく、神さまへの敬意や感謝の心を表す大切な意味をもっているんですよ。

本記事では、柏手の意味や由来、正しい打ち方、出雲大社のように特別な作法をもつ神社の話、お寺との違いまで、丁寧にひもといてまいります。

柏手(かしわで)とは?【神社で打つ意味と起源】

神社にお参りするとき、「パンパン」と手を打つ姿は日本人にとってごく自然な光景です。この手を打つ行為を「柏手(かしわで)」と呼びます。 もともとは「拍手(はくしゅ)」という言葉から派生したもので、「柏」という字が当てられたのは、音や姿が柏の葉を打ち合わせるように見えるからとも、「拍」の字が混用されたからとも言われています。

柏手のルーツは古く、中国の史書『魏志倭人伝』にも、倭人が貴人に対して手を打ちひざまずいて礼をしていたと記されています。 つまり、柏手は人を敬う仕草としても古くから行われており、やがて神様に向けた敬意の表現として神道の作法にも組み込まれていったと思われます。

柏手と拍手の違いは?【見た目は似ていても意味は別物】

柏手と拍手は、どちらも両手を打ち合わせる行為ですが、目的や場面が異なります。
拍手は、喜びや称賛を表すために打つもので、人前での表現です。

一方の柏手は、神前で敬意と祈りを込めて打つもの。私たちが神様と心を通わせるための、静かで厳かな合図でもあります。

柏手を打つ意味とは?【神様への合図と魂振りのしぐさ】

柏手には、いくつかの意味が込められています。代表的なのが、「魂振(たまふり)」という考え方です。
手を打って音を立てることで、「神様、こちらに来てください」という合図を送り、自分自身の魂と神様の魂を揺り動かす。そんな神聖な意味が込められているというんですね。

また、柏手には「場を清める」「心を整える」といった意味もあります。音には不思議な力があるとされ、音を鳴らすことで邪気を払うとも考えられてきました。
静寂のなかで鳴るあの音には、心を澄ませて神様と向き合うためのスイッチのような役割があるのかもしれません。

正しい柏手の打ち方【ずらす手が作るあの音の理由】

一般的な参拝作法である「二拝二拍手一拝」では、神様に祈りを捧げる前に、2回の柏手を打ちます。 このとき、ただ手を叩けばよいというわけではありません。音を美しく鳴らすためには、いくつかのコツがあるのです。

柏手の正しい打ち方の基本は、次のとおりです。

  • 1. 背筋を伸ばし、胸の前で手を合わせます。
  • 2. 右手をわずかに下にずらします(半手幅ほど)。
  • 3. 肘を軽く開き、左右の手のひらを勢いよく打ち鳴らします。
  • 4. 打つたびに、心の中で祈る気持ちを込めるのが大切です。

両手を完全に揃えてしまうと、空気が逃げてしまい、あの乾いた「パーン」という音が鳴りません。 左右の手にわずかなずれをつくることで、音が響くようになるのです。

もっとも――じんさんもね、神主さんのように気持ちよく「パーン、パーン」と響く柏手を打とうとするんですが、毎回うまくいくわけではありません。

「パシャ、パシャ」ってなんとも寂しい音になって、「あぁ今日は調子が悪いなぁ」なんて思うこともしょっちゅうです(笑)。

でも大切なのは、音の大きさではなく、気持ちを込めて打つこと。たとえ音が小さくても、神様にはしっかりと伝わると、じんさんは信じています。

出雲大社では柏手が4回?【通常の作法との違い】

一般的な神社では「二拝二拍手一拝」が基本ですが、出雲大社では「二拝四拍手一拝」という作法が用いられます。これは「四拍手(しはくしゅ)」とも呼ばれ、出雲大社特有の拝礼様式です。

出雲大社 柏手4回の理由とは

出雲大社をお参りしたことのある方は、「あれ?柏手が4回?」と驚いたかもしれませんね。
一般的には「二礼二拍手一礼」が神社での作法として知られていますが、出雲大社では「二礼四拍手一礼」が正式なんです。

これには、ちゃんとした理由がありましてね。出雲大社で最も大切なお祭り――5月14日の「例祭(れいさい)」では、なんと8回も柏手を打つんです。
この「8」という数字、古くから無限や永遠を象徴する特別な数とされていて、神様への限りない敬意を表す意味が込められているんですね。

ただし、この8拍手は例祭のときだけの特別な作法。ふだんの参拝では、その半分である4回の柏手をもって神様をたたえましょう、ということなんですな。

一般的な柏手の回数と比べてみよう

ふだんの神社参拝では「2回」が基本です。しかし、古来の作法には「八開手(やひらて)」と呼ばれる8回の柏手や、無音で打つ「忍手(しのびて)」などもありました。 柏手の回数や打ち方は、神社ごとの伝統や信仰の形に合わせて多様に存在しているのです。

お寺で柏手はNG?【神社とお寺の作法の違い】

神社とお寺では、参拝時の作法が異なります。神社では柏手を打ちますが、お寺では柏手を打たないのが基本です。 これは、お寺では仏様に向かって静かに手を合わせて合掌するのが正式な作法だからです。

間違えてお寺で柏手を打ってしまっても、よほどのことでなければ咎められることはありませんが、参拝の場ではその場所ごとの礼儀を意識したいものですね。

まとめ|柏手の意味を知って、より深い参拝を

柏手は、音を鳴らすための所作ではなく、神様との心の通い合いを生む大切な祈りの作法です。
ただ手を打つだけではなく、その背景や意味を知ることで、神社参拝はぐっと奥深いものになりますよ。

次に神社を訪れたときは、柏手を打つ音の向こうに、自分の願いや感謝の気持ちが神様へと届いていくような気持ちで、手を打ち合わせてみてはいかがでしょうか。

じんさんのひとこと

柏手ってね、ただパンパンと音を鳴らすだけのもんじゃないんですな。音で神さまをお呼びして、自分の心も整える――そう思って打つと、なんだか背筋もしゃんとしますよ。次のお参りでは、ちょっと気持ちを込めて打ってみましょか。

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