こんにちは、じんさんです。
秋のお彼岸になると、昔は決まってお墓参りに行ったもんです。
けれど年を重ねるにつれて、体が思うように動かなくなって、「行きたいのに行けない」もどかしさを感じるようになりました。
同じように、「秋分の日なのに、お墓参りに行けない…」と心を痛めている方も多いでしょうな。
でもね、大丈夫。家の中でも、ご先祖さまに想いを届ける方法はいくらでもあるんです。
この記事では、お彼岸と秋分の日のつながりをおさらいしながら、家にいながらできる5つの供養の形をご紹介します。
今の暮らしに合わせて、できることを少しずつ――じんさんと一緒に考えてみましょう。
秋分の日とお彼岸のつながりとは?
毎年、秋分の日が近づくと「そろそろお彼岸だなあ」と思う方も多いかもしれませんな。
実は、この秋分の日、お彼岸の「中日(ちゅうにち)」と呼ばれていて、ご先祖さまをしのぶ大切な日なんです。
春分の日と秋分の日を挟んだ前後3日ずつ、あわせて7日間――これが「お彼岸」と呼ばれる期間です。
昼と夜の長さがほぼ同じになるこの時期は、昔から“あの世(彼岸)とこの世(此岸)がもっとも通じやすい”と信じられてきました。
つまり、「ご先祖さまの想いが、いちばん届きやすいとき」ですな。
仏教の教えでは、「お彼岸」は自分自身の“心の修行の期間”ともされていましてな。
私たちが今生きている迷いの世界(此岸)から、悟りの境地(彼岸)にたどり着くには、
「六波羅蜜(ろっぱらみつ)」と呼ばれる6つの修行(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)を実践することが大切だと説かれているんです。
この修行を意識して過ごすのが「彼岸会(ひがんえ)」という仏教行事の意味合い。
つまり、ご先祖さまを敬う気持ちと、自分を省みる心をあわせ持つ――そんな時期というわけですな。
また、内閣府も、秋分の日を「祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ」祝日と明記しています。
このように、秋分の日とお彼岸は、日本人の精神文化に根づいた大切な節目なんですよ。
彼岸に墓参りに行かない人は、あなただけじゃない
とはいえ、最近じゃあね、「お彼岸だけどお墓参りに行かない」って人も多いんじゃないかな。
たとえば…
- 実家が遠くて、移動が大変
- 高齢の親を連れて行くのが心配
- 忙しくて時間がとれない
- 天気が悪くて予定を立てづらい
そんな声、自分のまわりでもよう聞きます。
「行かない自分は冷たいのかも…」なんて思わなくていいですよ。
実際、近年の高齢化や核家族化の進行により、昔ながらの“家族そろっての墓参り”が難しくなってきているのは、時代の流れでもあるんですな。
ほんとうに大切なのは、“形”よりも“心”なんです。
「今年は無理だけど、ご先祖さんを思い出してますよ」っていう気持ちこそが、一番のご供養になるんですな。
家からできる5つの供養法
お墓参りに行かなくても、ご先祖さまを想う方法はたくさんあります。ここでは、家の中でもできる5つの供養法を、やさしくご紹介していきます。
仏壇や写真に手を合わせる
仏壇があるお宅なら、そこにお花やお茶を添えて手を合わせる。
それだけで、立派なご供養になりますよ。
でもね、最近は仏壇がないご家庭も増えてますな。
そんなときはどうするか?
たとえば、
- ご先祖さまや故人の写真を飾る
- 家族写真の前で静かに手を合わせる
- 思い出の品をそっと置いて、語りかける
そういう小さな「場」を作るだけでも、心を向けるきっかけになります。
仏壇があるかどうかじゃなくて、「そこに込めた想い」が大事なんです。
おはぎや好物をお供えする
お彼岸といえば、やっぱり「おはぎ」ですな。
もち米とあんこで作る、あの素朴な味には、ご先祖さまへのやさしい気持ちがこもってます。
もちろん、手作りしなくても大丈夫。
スーパーのおはぎでも、「買ってきてくれてありがとう」という気持ちが届くもんです。
それに、おはぎじゃなくても、ご先祖さまが好きだったもの――
たとえば漬物、甘いもの、お酒――なんでも構いませんよ。
大事なのは、「これ好きだったよなあ」と思い出しながら供えること。
その気持ちが、ちゃんと天に届くんですな。
庭の花や一輪の草花を手向ける
仏花がなかったら、道ばたの小さな花でもいいんです。
たとえば、庭に咲いた彼岸花、ススキ、コスモス――秋を感じる花ならなおのこと。
コップに水を入れて一輪挿しにするだけでも、部屋の空気がふっと変わる気がしますよ。
「お墓じゃなくて、家に咲いた花を見てください」と思って手向ければ、きっとご先祖さんも微笑んでくれます。
手紙を書く・心の中で語りかける
私が個人的におすすめなのが、手紙を書くことですな。
声に出すのが照れくさかったら、手紙に思いをつづる。
「ありがとう」「会いたい」「こんなことがあったよ」――
どんな言葉でもかまいません。
書いたあと、そのまま机の引き出しにしまってもいいし、火にくべて空に届けてもいい(安全にね)。
話しかけるように心の中で語るだけでも、心がすーっと軽くなるもんですよ。
静かな時間をとって、ただ感謝する
スマホもテレビも消して、5分だけ静かに目を閉じてみる。
「ありがとう」「どうか見守っててください」
そう心で唱えるだけでも、立派な供養です。
お線香を焚いてもいいし、好きな音楽を流してもいい。
とにかく、“ご先祖と向き合う時間”を自分なりに作ることが大切です。
大切なのは、想いを向けること
お彼岸にお墓参りに行かない。
先祖を想う心が強いほど、心の中にちょっとした罪悪感が芽生えてしまうもんですな。
でもね、お墓に行かなくても、仏壇がなくても、おはぎを作らなくても、
「ご先祖さまを想う心」さえあれば、それだけで十分なんです。
今年のお彼岸は、自分なりの供養の形を見つけてみませんか?
どんな形でも、心を向けることが、ご先祖さまにとって一番うれしいはずです。
じんさんのひとこと
私しも昔は、お墓参りにいかないと、どんなお供えをしたらいいか、など形にとらわれていたもんです。
結局のところ「いつも見守っていただいてありがとうございます」って気持ちを込めて手を合わせることがいちばんやね。
今日も心を込めて「ありがとうございます」。それだけでいいんですよ。
じんさんについて
じんさんは70代後半。日本の風習や言葉の背景に長年親しみ、昔ながらの行事や礼儀作法を伝えることを楽しみにしている案内人です。
このブログでは、「そういえば、こんなこと誰に聞けばいいんだろう?」という素朴な疑問に、やさしく寄り添う語り口でお応えしています。
今日も暮らしの中で気づいたことを、ひとつずつ綴っていきます。