柏手とは?神様に響く正しい打ち方と意味をやさしく解説

神社の拝殿に向かって柏手を打つ人の姿。 神社・仏閣のたしなみ

神社で柏手を打つ――そんな何気ないしぐさにも、日本の祈りの文化が深く息づいています。 じんさんもね、もう何十年といろんな神社をお参りしてきましたが、柏手にはそのたびに「意味があるなぁ」と感じてきました。

「柏手(かしわで)」と呼ばれるこの所作は、ただ音を鳴らすためのものではなく、神さまへの敬意や感謝の心を表す大切な意味をもっているんですよ。

この記事では、柏手の意味や由来、正しい打ち方、出雲大社の特別な作法、お寺との違いまでを、じんさんの体験をまじえて丁寧にひもといていきます。

柏手とは?意味と起源をやさしく解説

神社にお参りしたとき、「パン、パン」と手を打つ光景を目にしたこと、ありますよね?
この手を打つ所作のことを「柏手(かしわで)」といいます。

もともとは「拍手(はくしゅ)」と呼ばれていたものが、音の様子が柏の葉を打ち合わせたように見えることから「柏手」という字が当てられるようになったといわれています。

さらにさかのぼると、なんと3世紀の中国の歴史書『魏志倭人伝』には、倭の人々が貴人の前で手を打って礼をしていたという記述があるんです。
この所作が、やがて神様への敬意を表すかたちへと発展していったのではないか――そう考えられているんですね。

拍手と柏手の違いとは?

「柏手と拍手って、何が違うの?」と思われる方もいるかもしれませんな。
どちらも両手を打ち合わせる行為ですが、意味や使う場面がまったく違うんです。

拍手は、だれかの演奏やスピーチに「よかったよ!」という気持ちを伝えるときに打つもの。
一方の柏手は、神様に向かって敬意や感謝を表す、神聖な祈りの合図なんですな。

つまり、拍手は人に向けた称賛、柏手は神に向けた祈り――というわけです。

柏手を打つ理由と神様への意味

柏手には、いくつかの意味が込められています。
なかでも印象的なのが、「魂振(たまふり)」という考え方です。

柏手を打って音を鳴らすことで、「神さま、こちらへお越しください」と合図を送り、自分の魂も目覚めさせる。
つまり、神と人との心の通い合いをつくるきっかけなんですね。

また、音には場を清める力があるとも言われていて、柏手を打つことで邪気を払い、祈りの空間を整えるという意味合いもあります。

じんさんも柏手を打つたび、ふっと気持ちが整うような感覚を覚えますよ。

柏手の正しい打ち方【音が響くコツも紹介】

参拝のとき、きれいな音で「パーン」と響く柏手を打てると、なんだか気持ちも晴れやかになりますよね。
そのためには、ちょっとしたコツがあるんです。

柏手の基本的な打ち方

  1. 背筋を伸ばして立ち、胸の前で両手を合わせる
  2. 右手を少し下にずらす(半手幅ほど)
  3. 肘を軽く開き、左右の手のひらを勢いよく打ち鳴らす
  4. 心を込めて祈りの気持ちを添える

このとき、左右の手をピタッと揃えてしまうと音が鳴りにくくなります。
わずかにずらすことで、空気が抜けず「パーン」という乾いた音が出やすくなるんですね。

とはいえ、じんさんも毎回うまくいくわけじゃありません(笑)。
「パシャ、パシャ…」と弱々しい音になることもありますが、大事なのは音の大きさより、心を込めることです。

出雲大社はなぜ4回打つ?八拍手の意味とは

一般的な神社では「二拝二拍手一拝」が作法の基本ですが、出雲大社ではなんと「二拝四拍手一拝」が正式な作法です。

これは全国的にも珍しく、出雲大社やその関係神社などで行われている伝統です。
公式サイトには明確な説明はありませんが、現地ではその作法が受け継がれてきました。

さらに、出雲大社の最も重要な神事である「例祭」では、8回の柏手を打つんです。

この「8」という数字は、昔から無限や永遠、繁栄を象徴する縁起の良い数。
その半分である「4回」は、日常の参拝でも神様への敬意をより深く表す方法として用いられているわけです。

多くの神社では「二拝二拍手一拝」が基本ですが、出雲大社では「二拝四拍手一拝」という特別な作法が用いられています。

柏手の回数は神社によって違う?【作法のバリエーション】

柏手の回数といえば、ふつうは「2回」と思っている方が多いと思います。
でもね、じつはこれは「現代の一般的な作法」にすぎなくて、昔はもっといろんな打ち方があったんです。

たとえば「八開手(やひらて)」という言葉、聞いたことありますか?
これはなんと、柏手を8回も打つという古式の作法なんです。
いまでも特別な祭祀の場などで使われることがあるそうで、8という数字には「限りない敬意」や「永遠の祈り」が込められているとも言われています。

それとは逆に、「忍手(しのびて)」といって、音を立てずに柏手を打つという形もあるんですな。
厳かな儀式のときや、静けさを重んじる場面で行われることがあるそうで、これもまた日本らしい美意識の表れかもしれませんね。

神社ごとの伝統や神様の性格によって、柏手の回数や打ち方が違うというのは、まさに“神さまごとのお作法”。
だからこそ、どの神社でも「その場に合った祈り方を大切にする」――これが、いちばんのマナーなんですよ。


お寺で柏手はNG?参拝マナーの違いに注意

神社とお寺、見た目は似ていても、参拝の作法は大きく違います。
神社では柏手を打ちますが、お寺では柏手は打ちません

お寺では仏さまに静かに合掌するのが正式な作法。
音を鳴らすのではなく、自分の内面と向き合う静かな祈りの時間なんです。

ただし、ついうっかりお寺で柏手を打ってしまったとしても、怒られるようなことはありません。
でも、参拝の場では、その場にふさわしい作法を意識したいものですな。

まとめ|柏手を知れば、参拝がもっと豊かになる

柏手は、音を鳴らすための単なる動作ではなく、神様との心の通い合いを生む大切な所作です。
その意味を知るだけで、いつものお参りがぐっと深くなりますよ。

神社の境内で手を合わせるとき、音の先にある「願い」や「感謝」をしっかり神様に届けるような気持ちで、柏手を打ってみてください。
きっと、祈りの時間がもっとあたたかく感じられるはずです。

じんさんのひとこと

柏手ってね、ただパンパンと音を鳴らすだけのもんじゃないんですな。 音で神さまをお呼びして、自分の心も整える――そう思って打つと、なんだか背筋もしゃんとしますよ。次のお参りでは、ちょっと気持ちを込めて打ってみましょか。

じんさんについて

じんさんは70代後半。若いころから日本各地の神社仏閣を訪れ、参拝の作法や伝統に親しんできました。 いまも地元の神社に通い続けながら、日々の気づきや昔ながらの習わしをブログでやさしく語り継いでいます。

タイトルとURLをコピーしました